プロローグ

あたしは不倫をしています。
不倫。イケナイことです。

あたしは21歳のただの女子大生で。
彼は30歳のただのサラリーマン。

だけど、この二人が出会って「普通の」
恋人、になれないのは、

彼が結婚してるから。


だけどあたしは、彼のことが好きになってしまった。
彼も気持ちにこたえてくれるように、
出会ってからは毎日メールをくれた。
声を聞きたい、といえば電話をくれた。

横浜でデートをしました。
迎えに来てくれて、車に乗って、
中華街でご飯。
歩いているときは、さり気なく手を繋いでくれた。

綺麗な食べ方、飲み方。
さりげない会話。
しぐさ。

全部にどきどきしてあたしは壊れそうになった。

車に乗ってるとき。
「俺ってあんまり『付き合おう』とか言わないタイプなんだよね」
「え？じゃぁ、なんとなく、付き合ってるの？
いつもは・・・」
「なつきは言われたい？付き合ってくれ、とか、好きだ、とか」
「そりゃあねぇ・・・」
「俺に、言われたい？」

もう、うん、としかいえないじゃん。
頷いた。
もう、戻れなかった。

観覧車に乗った。
大きな観覧車。
キレイな夜景。
インターコンチネンタルホテルを見て、
下心なしにあたし言ったの。
「あそこ、とまりたいなぁ・・・」

「じゃあ、泊まる。約束する」
「本気？」
「本気。」

突然キスされた。
気の遠くなるような長いキスだった。
そこから先はあまり覚えてなくて。
「俺がなつきを好きになっちゃだめ？」
「もっとなつきを知りたいと思ってる」

そんなクサイ台詞ばっか（苦笑）。

でもうれしかった。
あたしもおんなじだよ、って思った。

彼とのキスは初めてじゃないのに、
やっとここから何か始まるような気が、
勝手にしたの。

絶対にいつか、もしくはすぐにでも、
罰があたるかもしれない。
嫉妬に狂って醜い女になるかもしれない。

でも、怖いのは彼を手放すことかもしれない。

誰になんといわれようとも、
それが禁忌だとしても、

好きなの。